シンガポール分離独立と同じ1965年生まれの料理評論家ゴー・チュンフォンは、猛スピードで変貌を遂げるシンガポールにおける庶民の料理に着目し、料理人たちへのインタビュー取材を進める。SNSを駆使して新感覚のグルメ記事を書く同僚の若い女性記者に対して当初は違和感を感じるが、取材の過程で2人は次第に打ち解けていく…。一人の料理ジャーナリストがタンリン・ホルトなど有名なフードコートを巡り、実際のシェフたちを取材するドキュ=ドラマ・スタイルの本作から、タイトルのワンタンミー(雲呑麺)をはじめバラエティに富むシンガポール料理の数々、ひいてはアジア各地からの移住者によって築かれたシンガポールの歴史と現在が浮かび上がってくる。エリック・クー監督は食通として知られ、来日時もラーメン店をあちこちハシゴするほどの熱心さだが、本作を経て2018年にはバクテー(豚の骨付き肉などを煮込んだ料理)とラーメンをテーマにした『家族のレシピ』を発表している。本作はサンセバスチャン国際映画祭2015でプレミア上映された。